成すも成さぬも 今を楽しめ

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

未来が見えないことに慣れろ

 名古屋で、某新聞社で働き始めた人と、某IT企業で働き始める人の話を酒の席で聞いてきた。新聞社先輩は、給料には満足しているものの、フレックスタイム制も真っ青の勤務時間の不安定っぷりとジャーナリズムの理想との乖離に悩んでおり、IT先輩は、院にまで進んだものの研究意義を見いだせず、データ分析系ということで就職したらしい。

 

 なんだかんだ言っても、やはり親しい人が何を思ってどうしているかというのは、著者の人間性もわからないその辺の啓発本よりはよっぽど役立つと思う。「就活」に一応のけりをつけた彼らにおいても、人生の迷いは晴れないし、仕事が楽しすぎて仕方がないといったこともないようだ。ただ、ある程度仕事を選べる立場にあって、何を重視したかは人によってだいぶん異なる。新聞社先輩は東京での生活を捨てたし、IT先輩はアカデミアでの人生を少なくとも今は続けないという選択をした。さらに言えば、IT先輩は修士課程修了からの就職、新聞社先輩は院進を断念した過去があるので、就職を選ぶか否かについても人によってさまざまだ。

 

 翻って、自分はどうかということをまた考えてみる。仮に就職するとして、今のところ結婚はおろかパートナーの予定さえないので、給料は今の生活水準を落とさないくらいあればいい。満員電車には絶対に乗りたくない。通勤時間もできれば短い方がいい。大学が休みの日は映画を見るか布団にくるまっているかで、特に打ち込んでいる趣味もないため、週休が3日もあれば絶対に持て余す。前線の尉官よりは後方の参謀でいたいので、企業で言えば外回り上等の営業よりは経理・総務を、経理で算盤を弾いたり総務で明らかな雑務に従事するよりは企画・経営をやっていたい。スキル・資格は特にないし、持つ予定も特にない。海外で住んでみたいという気持ちがなくもないが、留学で一応達成される。会社に頼らず個人で生きていけるようになりたいが、起業するようなバイタリティはない。

 

 

 仕事を「食っていくため」と割り切るにはプライベートが充実しておらず、人生の目的にするには熱意が足りないといったところであろうか。仮に研究者になることを考えても同じような感じになるだろう。仕事(研究)熱心と社(ラボ)畜の境目は偏に熱意の有無であると思う。できれば自分のやっていることに意義を見いだせるようなことをしたいものだ。このままだとテキトーにコンサル等に就職したあげく、イシューだのファクトだの言いだしかねない。

 

 まあ、いずれにせよ2年と半年くらいはまだ学生が続く以上、まだまだやりがいのありそうな仕事を見つけたり、プライベートの拡充に勤しむ間はある。目の前の宿題をこなしつつ、色々なところに食指を伸ばしていこう。差し当たっては統計とプログラミングだろうか。