成すも成さぬも 今を楽しめ

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

院進と就職

 本日の投稿2本目である。

 

 その昔、「何者」という映画があった。当時院進などほとんど考えていなかったピカピカの一回生だった私は当時のクラスメートと見に行って、「こんな大変なことをしなきゃいけないのかこわいなー」というくらいの感想だったような気がする(その日は別の意味で散々だったのだが、趣旨から外れるので割愛する)。

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 早いものであれから2年と半年がたち、同期が皆就活を始める時期になった。私はといえば院に進みたいという気持ちだけはあるので特に何もしていなかったのだが、せっかくだからということで2,3社の説明会や選考に参加することにした。今日はそのうちの一つで、たぶんまあまあ有名なベンチャーの説明会だったのだが、なんというか予想と大分違って驚いた。ベンチャー企業にも拘らず時間をかけて新卒教育していくと豪語しており、また事業内容も今話題の人工知能機械学習系であり、社会調査の方法なんかは今まで学んできたことそのままな感じがしたが、なんというか社長とか副社長から「ビジネスやったるで!」的な気概が感じられた。

 

 脳科学などに出会う前の私であれば、そういうのも良いなあと思ったかもしれない。もう少し普通に就活していただろうから、その中で自分のやりたいこと、つきたい業種を何かしら見つけていたろうと思う。しかし現実にはアカデミアに残り、専攻を変えるか変えないかの境目くらいで行き詰っている私がここにいる。

 

 アカデミアの世界は決して明るい世界ではない。しかしそこには個人レベル、あるいは研究室レベルではっきりとした目標と、やはり「知的面白さ」の最前線がある、と思う。そのフロンティアを開拓しようと今まで多くの若者が挑み、志半ばで命を落としたものも数知れない。それは逆に言えば、それだけ魅力的な金脈が眠っているということでもあるのではないか。

 

 結局のところ、学部の4年なんてものはほとんどの場合「何者」でもないのではないかと思う。学問的にも中途半端、ビジネスで即戦力になるわけでもない。そういう人たちに対して、「お前は研究してみたい? それともビジネスしてみたい?」と投げかけてくれる大学院入試と採用試験は、ある意味で優しさに溢れているともいえる。

 

 しかしアカデミアと企業のもっとも大きな差はやはりお金で、アカデミアはお金を払って教育を受けるのに対し企業は教育を施したうえでお金もくれるのだ。どちらが優れているかは言うまでもないが、アカデミアと企業にも何となく住み分けはあるので、どちらかでしかできないことが確かに存在するように思う。給料もらって院に行きたい。そういうことができるのはアメリカくらいなもんだが……。

 

※たぶん明日加筆します。

※4/9 加筆

 自己実現をどのような形で成すかは人により様々であろう。もちろんそれ以前にどうしてもお金が必要というひともいるだろうし、安定していれば満足という人にも会ったことがある。あくまで「研究や仕事を通して何らかのやりがいを達成する」という前提に限っての話ではある。しかしビジネスの世界ではそうした自己実現が持て囃される一方で、文系、とりわけ人文系の研究や理系でも基礎研究の扱われ方にはひどいものが多く、まさに「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」状態である。

 

 たまたま知り合いの人文系の院生にばったり会ったのだが、博士課程進学に失敗し非常につらい生活を強いられているらしい。その人はADHDとも診断されていることも本人から聞いたし、「私にはこの道しかない」というような発言もしていた。その人個人に強く同情したというよりも、明日は我が身といった感覚の方が強い。あり得るかもしれないミライのカタチがそこに実体を帯びていたのだ。

 

 結局就活(あるいは就職してからも転職など)にせよ院進にせよ、挑戦に失敗は付き物である。私とて来年どうなるかも知れぬ身であり、もしかしたら現在進行形で破滅へ突き進んでいるのかもしれない。しかし挑戦の結果失敗しても、それが破滅を意味しない社会がよい社会であろうし、個人としては一度破滅を迎えてもそこからどうにか生きる道を探さねばなるまい。どうあっても人生は続いていくのだから。

 

“Let me tell you something you already know. The world ain't all sunshine and rainbows. It's a very mean and nasty place, and I don't care how tough you are, it will beat you to your knees and keep you there permanently if you let it. You, me, or nobody is gonna hit as hard as life. But it ain't about how hard you hit. It's about how hard you can get hit and keep moving forward; how much you can take and keep moving forward. That's how winning is done! Now, if you know what you're worth, then go out and get what you're worth. But you gotta be willing to take the hits, and not pointing fingers saying you ain't where you wanna be because of him, or her, or anybody. Cowards do that and that ain't you. You're better than that! I'm always gonna love you, no matter what. No matter what happens. You're my son and you're my blood. You're the best thing in my life. But until you start believing in yourself, you ain't gonna have a life.”

― Sylvester Stallone, Rocky Balboa