書評:「10年後の仕事図鑑」堀江貴文, 落合陽一 (2018)
巷でそこそこ話題になっていたので、読んでみた。
まとめると、
AIの普及を脅威と捉えるのではなく、さらに便利な世の中をもたらす存在として理解するべき。そんな世の中にあって、わざわざ嫌な仕事に就く必要はない。むしろ色々なことにチャレンジする中で、自分だけのやりたいこと・強みをいかしてくことが大切。
という感じだろうか。流し読みだったので、まとめきれていないところがあるかもしれない。
AIには詳しくないが、恐らく社会はこれからますます便利になっていくのであろうし、ミニマルに生きようとするなら、今のご時世いくらだって切り詰めていける。だからお金を気にせず好きなことに挑戦しろと言われれば、なるほどそうかもしれないと思ってしまう。
しかしまあ、著者の二人はもう「どうとでもなる」側の人間である。知名度も、資産も、業績も大体そろっているので、今から新しくなにかしようとしたところで、例えば一介のサラリーマンや学生がなにかを始めるよりリスクは格段に小さい。協力者も資金も恐らく集まりやすいだろう。翻って、たとえば私はどうなのかといえば、仕送り頼りの貧乏学生である。そしてその差を乗り越えられるだけのバイタリティはどこかへ置いてきてしまった。立場に違いはあれ、読者は私と同じように感じるのではないだろうか。
なので、本の内容自体は少し割り引いて考えるべきかなと思う。なにはともあれ、いろいろやってみる、そしてできれば好きなことを見つける。また、お金と好きなことが天秤にかかった時には、なるべく好きなことを取るようにする。というような具合に。
人生において「やってみよう!」という動機で何かを選択できるのは、とても幸せだと思う。たいていの選択は選挙のようなもので、「クソの中から少しでもましなクソを選ぶ」ということがほとんどではないだろうか。しかし、クソだと思っていたものでも、付き合っていくうちに良いものと思えることもある(ということを指摘する心理学的研究もある!)ので、ある程度ファジーに、流されながらも好きなことをやっていくといった姿勢が大事なのではないかなと思った。