成すも成さぬも 今を楽しめ

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

一人暮しへの反省

 来週の日曜に東京を撤退し、一度実家を踏まえてフィンランドへ出発する。それに伴って人間関係から課題まで色々なものに終止符を打っているのだが、なかでも部屋が片付かないことに辟易している。

 

 2年と半年ほど前、東京へ出てきた私は、これから始まる新生活に胸を膨らませていたというか浮かれていたので、一人暮らしについてまったく知識がないことも相まって親やら不動産屋が言うことただ鵜呑みにし、また友人たちの様子を横目で見ながら何となくの場所や相場を決定していた。結局キャンパスから電車で15分(乗り換え1回)、そこそこ古くてそこそこ広い物件で私の東京おひとりさまライフが始まり、今日に至るまで続いてきた。

 

 しかしながら、2年半も住めば「一人暮らしする自分」がどういう生き物かがわかってくる。敵を知り己を知れば百戦危うからずというが全くその通りで、当時の私は敵はおろか己すらも知らなかったのだ。仕方のないことではあるが、それで随分苦労したこともあるので、反省したことを書き記していこうと思う。

 

・敵:東京という土地

 すべて東京に住む人間は、地価と通勤・通学というジレンマから逃れることはできない。値段をケチってあまりにも遠くに住めば通勤ラッシュに巻き込まれることで通学気力は指数関数的に低下していくし、キャンパスや会社のあるエリアはとても貧乏学生が住める地価ではない。また所謂山手線内側の都心ならば駅からあり得ないくらいほど遠いということはないが、それより外側の私鉄沿線などに住むなら駅から自宅までの距離も加味しなければならない。徒歩10分なんて大した距離じゃないと思っていた。しかし駅からそれだけ離れているエリアは往々にして住宅地のど真ん中に位置していることが多く、コンビニを始めとしてスーパー・銀行などすべての生活インフラが若干遠い位置にあることになる。とすれば、大学に通っている期間はいいのだが、休み中や病気になった時などはなかなか苦労する。またこの土地は夏は暑く冬は寒く、またなぜ首都にしたというレベルで坂道が多いので、徒歩でも自転車でも辛い目に会うことになる。もちろんそういう土地でも利点はないわけではなく、例えば人が寄り付かない、夜はとても静かといった利点はあるが、欠点の方が遥かに思いついてしまう。きっと原付や車を乗り回すようになれば事情も変わるのだろうが、いずれにしても厳しい選択である。

 

・己:一人暮しと性格

 私は家では勉強できないタイプの人間である。試験直前ならばまだしも、自宅ではついゴロゴロと無為に過ごしてしまうことが多く、畢竟勉強するにせよ、遊ぶにせよ外出することが多い。特に夏場と冬場は家のエアコンがそんなに聞かないことも相まって一日の大半を家の外で過ごすことが多かった。正直家には寝るために帰っている要素が多かったと思う。そこそこ広い家(同じアパートには夫婦、家族で入居している人もいた)を倉庫としてしかつかっていなかったのはムダ以外の何物でもなかった。しかも家の広さのわりに(の代償として)キッチンと風呂・トイレは貧弱だったものだから、自炊をしようにもモノを切るスペースがなく、風呂に入ろうにも新大陸に輸送される奴隷のような気分で湯船につかるしかなかった。また私は少しでも忙しくなると家事をサボる人間なので、倉庫に溢れたモノの山、溜まる洗濯物と食器、汚れていく部屋を前にしてため息をつくことがしばしばあった。洗濯もなかなか曲者で、たまの休みに雨が降ったために洗濯物をカバンに詰め込んでコインランドリーまで歩いた時など正直洗濯機不要説を唱えたほどだ。

 

 以上を踏まえて、いったいどのような住まいが良いと言えるだろうか。私には多少狭くても通勤ラッシュに巻き込まれないくらいに大学に近く、駅からも近いことが必要最低限の条件になるだろう。できれば洗濯機は乾燥機付きのものがいいし、正直バスタブは近くに銭湯でもあれば必要ない。その代わりにトイレは別がいい。そうでないと掃除に困る。私物の類はそれに合わせて部屋の大きさを決めるより、部屋の大きさから量を決めた方が絶対にいい。その上実家に置かせてもらうこともできれば、一番嵩張る本塁は今の時代電子書籍化すればなんとかなる。キッチンはなるべく広い方がテンションが上がるが、一人暮らし用の物件であればそれも限界があろう。

 

 こういう風に条件をつらつらと並べてみると、今流行り(?)のシェアハウスはあながち悪くない選択のように思えてくる。もちろん、今の環境を前提に議論を進めているから、思いもよらぬ障害があるのかもしれない。例えばもし門限があったら私は耐えられない。またあくまで一人暮しを想定して進めた議論なので、当たり前だが二人三人で済むとなれば条件も変わる。同居人が全くの他人であればなおさらであろう。

 

 ともかく、この殺伐都市トーキョーはもうすぐ離れることになるし、寮の関係でフィンランドではシェアハウス住まいになる。また1年後には状況が変わっているかもしれないが、ともかくこれが今の家に2年以上住んだ感想である。もし東京を始めとした大都市で一人暮らしを始める人がいたら、この記事は参考になるようなならないような、そのくらいの内容にはなったのではないだろうか。

 

 

 

 

 ラブラブ同棲ライフでも送りたいものだ。