成すも成さぬも 今を楽しめ

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

38日目:油断していたところに一発

 インスタを眺めていて、ふとお世話になった人(友人というのはなんだかおこがましい気がする)がアブダビにいるというストーリーを発見した。普段からやり取りをする人ではないのだが、これはヨーロッパ方面だな、と思いメッセージを送ってみた。案の定オランダで国際会議に参加するための来欧だそうである。その人は院生なので、恐らく発表などするのだろう。その人のことは優秀な人だとは思っていたが、ますますすごいように感じられた。

 

 率直に言って、私は天邪鬼なので、声高に自分の成果を叫ぶ類の人間はあまり好きではない。むしろサラッと大きいことを不言実行でやってしまうのに憧れる。その点で言えば、旅行ですという顔をしておいて、実は国際会議に参加するというのは、なかなかどうして格好いいではないか。本人にそういう意図があるわけではないと思うが。

 

 またツイッターでも、公務員試験を受けた友人のツイートが流れてきた。彼の公務員に関する葛藤はよく知っているし、彼の夢のためにも是非とも合格してほしいと思う。成功すれば言わずもがな、失敗しても次の試験があり、彼はまさに将来への一歩目を踏み出したと言えよう。

 

 夏休みの宿題ではないが、やれと五月蠅く言われたり、俺はこんなにやったんだぜと自慢されると甚だやる気も起きないが、久しぶりに会った友人に、俺は全部終わったよと言われると途端にやらねばならない気がしてくる。日々緩慢と過ごしていたところに、追い付けない背中を見せられた気がした。

 

 ここ最近の我が身を振り返るに、環境に適応するためといいつつ、勉強を放り出していた感も否めない。授業を受けるたびに天邪鬼が頭の中で踊り狂う開発学の授業を受けている暇があったら、知覚の参考書の1ページでも読むべきなのだ。余計な授業の課題に追われるあまりに、本業(にしたいと思っていること)が疎かになるというのは本末転倒である。

 

 奇しくも今日は10月1日である。何かを始める・変えるには良い日取りだ。未だ適応できていないとはいえ、一日1時間くらいは、自分の勉強に費やすようにしようと思う。それが今の私に踏み出せる最も小さな一歩だ。

 

 

 

 渡らん、渡らん、大江の水、遡らん、遡らん、千里の江水。 ーー青春何ぞ、客圓の小池に飼われて蛙魚泥貝の徒とともに、惰眠をむさぼらんや。