成すも成さぬも 今を楽しめ

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

1日目:全てが手探り、特にお金

 時差ボケのせいか、朝は6時に目が覚めた。インターネットもない、充電器もない状態では暇を潰すのが非常に難しく、散歩でもしようと思って寮の扉を開けると、兎が二羽中庭を駆け回っていた。改めて、やべぇところに来たなと思った。

 

 ともかくも変換プラグを手に入れないことにはジリ貧だったので、昨日服を買ったエリアまで歩いていくことにした。途中サンフランシスコにいる友人と電話したが、社会人の話を聞く中で色々と思うことがあったらしい。ともかく頑張ってくれという感じだったが、ちょうどいい具合に時間を潰すことができた。20ユーロもするアダプタを泣く泣く買って、やることもないので市内観光へ繰り出した。

 

 ヘルシンキ中央駅で降りて、中心地を散策する。定期がもらえるのは学生証を作ってからということで、それまでは往復6ユーロほどかかるのだが、まあ自宅でくすぶっていても仕方がない。観光だと思えば安いが、生活費と考えると無視できない値段である。ヘルシンキ大聖堂を見学し元老院広場を抜け、市場まで行くと、たまたまスオメンナ島行きのフェリーを発見したので乗ることにした。夏(秋?)のバルト海を眺めながらの船旅はなかなか楽しいものだったが、いかんせん体感温度が冬のソレであり、隣にいたインド系と思しき男性はパーカーのフードをしっかり被ってジャミラ状態だった。

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 スオメンナ島は風光明媚なよいところだったが、島の奥に行けば行くほど観光客がギブアップした為か現地人のカップルが目につき、独り身が身につまされた。しかし岩肌の露出する海辺は、カップルがいてなおどこか荒涼とした雰囲気が漂っており、考えごとをするのによい場所だと感じた。

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 昨日買った靴が足に合っていなかったようで小指が痛みはじめ、島から引き揚げてからはロシア正教の教会に一瞬寄った他は何もせずに帰った。帰り道スーパーに入る手前で、どう見ても10代前半の少年にタバコをせがまれたのが印象的だった。家に帰るとルームメイトはやはりというか到着しておらず、夕飯を済ませて早々に眠った。

 

 特に人とも会わず、また慣れない土地のことでもあるために、かなり手探りで物事を進めている。といっても考えなしに物事を進める面も多分にあり、気疲れしないためにはかえってその方がよいようにも感じられる。またお金の問題は大きく、いちいち日本円に戻していては高いのか安いのかが掴みにくい。このあたりの肌感覚は住んでいくうちに身につくものだとは思うが、そうはいっても使いすぎには十分気をつけなければならない。

 

 ※自宅にwifiがないためインターネットに接続できず、経験と更新に1日程のラグがある